合気道天照会

大東流の触れ合気

岡本先生の合気の代名詞の一つ:触れ合気



触れ合気は岡本先生の合気技の中でもっともユニークで先生の代名詞と言っても良い技でしょう。触れただけで合気をかけて相手を不動にし意のままに操ります。握られて投げるのはまあ力学的な要素を見て検証できなくも無いですが、触れただけで投げたり固めたりとなるともはや説明不能なのでまさしく大東流の合気の神秘とも呼べる技ですね。

反射を巧みに使うのが触れ合気



合気上げ・下げで説明した円や重心を巧みに使うのも大事ですが、触れ合気自体は特に反射を活用します。円と呼吸と条件反射の内の反射のみを体験するにも適した技です。実際、合気の技として使うのは難しいですが、反射とは何なのかを体験するにはとても良い、実は奥義ではなく初心者向けで誰でも簡単に出来るのが触れ合気です。ここで使う反射は筋肉の伸張反射です。伸張反射とは筋肉が急激に伸ばされた時に筋肉を守ろうとする防衛反射です。最近は見ませんが、脚気の診断で使うテストですね。掌を使うのは手首の付け根に多くの筋肉と腱が集中している為に伸張反射を起こさせやすいので適してます。相手と手と手を合わせて相手の手首を外側に伸展させ、急に屈伸すように手首を内側に曲げ、その瞬間に触れている手の指先で相手の掌の中心を押せば相手の筋肉は簡単に硬直します。もちろんこれで相手を硬直させたり、踵を上げさせたりする事は出来ませんが、反射の一部としてこの様な反射を使っている事は体験できると思います。

ではどうすれば踵が上がるのか?



合気がかかると踵は上がります。これは岡本先生も合気の技は必ず踵を上げさせないといけないと名言しているぐらい、合気の技では重要です。合気の動画は様々な物がネット上にアップされ、色々な先生がDVDなど販売していますが、その合気が少なくとも岡本先生の大東流と同じかどうかを判断する最も簡単な基準は受けの踵がしっかり上がっているかです。合気をかければ踵が必ず上がりますし、踵が上がらなければ合気がかかってるとは言えないでしょう。踵が上がるのは要因は一つではありません。円と呼吸と条件反射の三つが合わさって合気が技として完成した時に踵が上がります。立ち技をかけてみて相手の踵が上がるかどうか、稽古する時の目安の一つにすると良いと思います。





触れ合気は実践ではどのように使うのか?



触れ合気は反射を体験するためだけの稽古ではありません。実はもっとも実践で使える合気技の一つです。正しい触れ合気の使い方は、実践で当身をさばいた時に、そのさばいた手で相手に合気をかけ投げる技です。触れ合気を掌または甲を使って稽古するのはその為です。掌が相手のどの部分に触れても合気がかけられるようになれば、合気を実践でも十分に使えるといえるでしょう。

相手の体だけでなく、相手の武器に触れても触れ合気は使える



触れ合気はその特質上、相手の体だけでなく、襲ってくる武器であっても合気をかける事が出来ます。写真は杖ですが、バットや警棒、剣や拳銃であっても同じようにかけられます。この様に様々な物に瞬時にかけられる事からも実践で使う合気技の一つと言えます。決して、飲み会で使う宴会芸だけでは無い、奥が深いのが触れ合気です。

合気上げについて
合気下げについて
触れ合気と踵が上がる事について
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